vol.003 果汁・白湯の今と昔


● 離乳準備食としての果汁は必要ないんですか?


昔は離乳準備食として、果汁を与えていました。


「みかんをガーゼで絞って…」など、聞いたことはありませんか?


でも、これは今は必要ないんですよ。


昔の人工乳(以下ミルクと書きますね)の成分は、今とはずいぶん違っていて、鉄分やビタミンC共にあまり含まれていませんでした。


なので、簡単に言うと、


・離乳開始の頃に、鉄分を多く含んだ離乳食を与える


・ビタミンCを補充する(柱:果汁からとは限らない)


ことは、牛乳に成分の近いミルクを飲んでいた頃の赤ちゃんが、

離乳開始の時期に、果汁を飲む、という意味はあったそうです。


ですが、今はそんな心配もありません。


今のミルクには、鉄もビタミンCも添加されています。


また母乳については、もともと鉄分の吸収がいいので、果汁はいらないのです。


(補足:ビタミンCは、鉄分の吸収に必要な補酵素という働きをします)


なので、赤ちゃんにとって果汁をやらなければならないという理由は、

今の時代には存在しません。


2007年4月に厚生労働省から出された「授乳・離乳支援ガイド」では、

離乳準備食という言葉がなくなったんですよ~。



●では、外国では果汁はどうなっているの?


アメリカでは、1997年アメリカ小児科学会で


「一般的には、母乳栄養児には最初の6カ月間は、水、果汁、その他の飲み物は必要ない」


という声明が出されました。


さらに2001年には、もっと進んで


「6カ月前には、果汁は決して与えてはならない」


と、果汁に対して強い禁止調の勧告になっているようです。



その理由は次の2つ


【理由その1】


果汁のような甘いものを与えることで、母乳やミルクを飲まなくなる、

甘いものになれてしまうことが考えられます。


【理由その2】


人間の小腸は、2%の糖分を含んだ食物が最も吸収が良いことが分かっています。


それ以上の糖分は、吸収されないまま大腸に運ばれます。


多くの細菌によって分解され、発酵してガスを発生したり、腸のぜん動運動を亢進して、下痢やガス腹の原因になったりします。


そして、果汁の糖分含有量はというと、なんと11%ほどあるので、

赤ちゃんは糖分が多すぎてお腹をこわしてしまうのです。



う~ん、一昔前の常識が、今の非常識ということは、結構ありますね。



例えば、お風呂上りの湯冷まし、これも今は必要ないと言われています。


【理由その1】


昔は、人工乳のタンパク質やミネラルが多すぎて、赤ちゃんにはとても濃すぎた。


それを薄める目的と、大人が湯上りがいいんじゃないか、とタイミングを選んで、湯冷ましを与える習慣ができた。


【理由その2】


もっと大昔は、上水道の整備が不十分で、ほどんどの家で井戸水を使っていた。


そのため、赤ちゃんに井戸水を飲ませて下痢をしたら大変だということで、水を一度沸騰させて「消毒」してから冷まして飲ませていた。


のだそうですよ。



●じゃあ、なぜ今も果汁や湯冷ましの指導が続いているの?


果汁も湯冷ましも、古い時代のミルクに伴って作られたものです。


1970年代になって、人工乳での育児が著しく増加し、母乳育児率が低下しました。


まさに、私が育った時代です。


それにしたがって、一挙に果汁と湯冷ましが必要となり、

「離乳準備食」と一緒に、乳児期の栄養の「常識」となってしまったのです。


それから40年以上が経ちましたが、考え方の変化が定着するには、かなりの時間がかかるようです。


いろんな情報に惑わされないようにしてくださいね!