● イオン飲料水って、どんな時に飲ませるの?
「三カ月から飲ませられます」
「お風呂上りや、たくさん汗をかいたときに…」
というキャッチフレーズが書かれていますが、本当にそうなのかな?
私は2人の子育てをしていますが、0~1歳の時は、基本、水(お白湯)かお茶(ほうじ茶、麦茶)だけでした。
母乳育児だったこともありますが、水すら飲ませてなかったかもしれません。
こういう飲料水に頼ったのは、子どもが感染症にかかって下痢がひどく、食事もほとんど食べなかったときに、お医者さんに「脱水には注意して下さいね!」と言われ、勧められたときくらいです。
まぁ、食べなくても、母乳は飲んでいたので、尿検査で脱水になっていることは、ほぼなかったですが…。
でも、ママの中には「3カ月から大丈夫と書かれているから、いいのよね?」「夏場、ベビーカーで移動したら汗たっぷりだし、これを飲ませた方がいいのよね?」と思う方もいると思います。
で、子どもに飲ませてみると、たいていの子はぐびぐび飲む。
もっとちょうだい!とアピールする。
そしてママも、またあげてしまう。
これが習慣になると、どうなると思いますか?
「うちの子、水は嫌がるんです。イオン飲料水をくれ!!って怒ります」
このパターンがとても多いんです。
こうなると、ここから水やお茶に戻すのは、なかなか試練ですね…。
● イオン飲料水の原材料は?
イオン飲料水の原材料は、次のようになっています。
A社…砂糖、りんご果汁、塩化ナトリウム、クエン酸(Na)、香料、塩化カリウム
B社…砂糖、果糖、ぶどう糖、塩化ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、塩化カリウム
C社…ぶどう糖果糖液糖、食塩、香料、酸味料、ビタミンC、炭酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、甘味料(ステビア)
いろいろと入っていますね。
A社とB社には砂糖、C社にはぶどう糖果糖液糖や甘味料が入っていました。
これらの成分は、舌ですぐに甘みを感じ、本能的にすばやく「おいしい」と感じるものです。
だから、飲み続けるうちに、止められなくなる。
もっとちょうだい、もっとちょうだい!!となる。
コーラやスポーツドリンクが止められなくなるのと、同じような現象です。
水やお茶には、こんな作用を引き起こす成分が入っていないので、欲しい欲しい!とはなりません。
2007年に厚生労働省から出されたガイドライン「授乳・離乳の支援ガイド」にも、『乳幼児期からの味覚や嗜好が、その後の食習慣に影響を与えるので、この時期の食習慣には注意しましょう』と書かれています。
3カ月からイオン飲料水を飲み、市販の赤ちゃん用のお菓子で、砂糖の入ったお菓子を食べるという食習慣を、みなさんはどう思われますか?
離乳食の味付けは薄味に気をつけていても、赤ちゃんは知らず知らずのうちに、砂糖の甘さを知ってしまう可能性がありますね…。
先日お話した歯科医の先生は、こんな話をしてくれました。
「商品が売れるというのは、どういうことだと思いますか?
売れないと商売にならないから、消費者(赤ちゃん)が好むような味になっているんですよ。
すごく美味しく感じるのは、実は、科学的に計算しつくされた味だから、当然なんです。
特にスポーツドリンクは、子どもの時から常飲が続くと、血糖値の乱高下を招き、糖尿病予備軍まっしぐらになります。
砂糖はコストが高いので、今は異性化糖や人工甘味料を用いることも多いですよ。
これらは虫歯を広げる飲み物ですしね…。」
私もなるほどなぁ、と納得してしまいました。
『〇カ月から飲めます、食べられます』と書かれていたら、うちの子に、もうあげれるんだ、あげてもいいんだと思いがちです。
でも、それって本当に必要なものなのかな?
どうしてもそれをあげないとだめなのかな?
なくても大丈夫じゃないのかな?
他に代用できるものがあるんじゃないかな?
そういう視点で、商品を見る目を養うことも、今の時代は必要だと、私は思います。
まとめると、
1.日常の水分補給に、イオン飲料水は必要ない。基本、水やお茶(ノンカフェイン)で十分。
2.病気等で脱水などの心配があるときは、医師に確認して、経口補水液を使用する
※経口補水液とは?
イオン飲料水とは組成が異なり、イオン飲料水よりも塩辛く甘みが少ない。
嘔吐や下痢で失った電解質や、必要な糖分をちょうどよい濃さで含んでいて、吸収されやすく、脱水からの回復に役立つ。
ただし、これも日常元気な時に飲むものではなく、それは腎臓に負担をかけることになる。
また、脱水予防にはならない。
3.経口補水液やイオン飲料水も、病状が回復すればすぐにやめる。ずっと飲ませ続けるものではない。
4.砂糖入りの飲み物や食べ物をどんどん与えることは、虫歯や肥満などの下地を作ることになるので、要注意。
砂糖の甘みを先に知ってしまうと、ご飯の甘み(でんぷん)ではもどかしくなってしまいまう。(吸収スピードが違うため)
ということです。
ですので、せめて乳児期は、食物そのものに含まれる『自然の甘さ』を教えてあげませんか?
大きくなったら、嫌でも自分でお菓子を買いに行きますから…(苦笑)
赤ちゃんの身体作りは、毎日の積み重ねです。
知らんかったわ~~!と後悔する前に、今一度考えてみてくださいね。