vol.006 なぜ、この人は、その食行動をとっているのかな?


みなさんが、「健康」を考えて食を選択する時、何をものさしにしていますか?

 

一般的には、「それが身体にいいかどうか」というものさしだけで考えがちではないでしょうか?

 

実は、これちょっと危険なんですよ。

 

私の経験をお話します。

私はもともと病院栄養士をしていました。

栄養指導では、目の前の対象者さんにとって、今一番気をつけるべきことは何かな?と考え、探っていきます。

 

例えば、糖尿病の患者さんなら、血糖値を乱している原因を見つけます。

肝機能が悪ければ、アルコールの摂取状況の聞き取りは必須です。

メタボなら、生活習慣を知る必要があります。

高血圧なら、便秘なら、貧血なら…。

 

原因を探すためには、ある程度の状況把握は必要なことです。

これが分からないと、改善のしようがありませんから。

 

その次に、病気を改善するために必要な食事指導をします。

昔の私は、

「ご飯は、お茶碗一杯で〇〇kcalですよ。甘いお菓子は止めましょう」

「ビール中瓶1本には、〇〇gのアルコールが入ってますよ。休肝日を作りましょう」

「寝る直前に食べても、活動して消費できないから、それが太る原因ですよ」

など、患者さんに正論を伝えることが全てだと、思っていました。

 

でも、守らない患者さんが大勢いたし、なかなか改善しない患者さんもいました。

栄養指導の時は、うんうんと頷いて、「頑張ります!」と宣言していたのに…。

 

やがて私は、患者さんの食生活の把握はしても、『なぜ飲んでしまうのか?なぜ食べてしまうのか?』というその人の心は知らないままだなぁ、ということに気付きました。

『その人に対して何がいいか?』ではなく、『その病気に対して何がいいか?』ということしか考えていなかったのです。

 

・身体にいいことは、実践すべきだ

・身体にいいことは、不満があっても取り入れるべきだ

・身体に悪いことは、やめるべきだ

 

このような一方的な指導は、本人が納得していなければ、その行動を実行しません。

また、一度実行したとしても継続できない人が多いです。

 

「こっちの事情も知らんくせに…」と内心怒りたくなったり、もしくは「この人は、どうせ私のこと分かってくれそうにないから、とりあえず話を合わせておこう…」と、あきらめてしまうかもしれないのです。

 

健康のために、身体にいいことだけを取り入れても、解決できないことがあります。

 

しかし、『なぜ、この人は、その食行動をとっているのかな?』という背景に寄り添うことで、解決につながることもあるのです。

 

だから、食を変えるには、まず「自分自身の心を知ること」が大切なんですよ。